■合併症の症状
【 慢性合併症 】(糖尿病による合併症を参照)
1) 糖尿病性網膜症(失明を招く): 網膜症になると眼の網膜の細い血管が障害されます。網膜の毛細血管が脆くなると、破れやすくなり、所々から出血し易くなります。 また血管がつぶれて血流が止まると、それを補うとしてバイパス血管が出来ます。(これを新生血管といいます。)この新生血管は残念なことに、粗製乱造品なので非常に脆くすぐ破れて、出血が生じ易いのです。ですから新生血管ができると、網膜症は急速に進行します。はじめは目がかすむ程度ですが、視力のいちばん良い黄班部に病変部が及ぶと、視力低下が始まり、重症になると眼底出血などがみられ失明してしまいます。
2) 糖尿病性腎症(糸球体が侵される):
腎臓は、血液をろ過し老廃物を尿として排泄する重要な臓器です。糖尿病が長く続くとこのろ過の役目をしている細い血管が障害されます。
血液から不要になった物質を濾過して尿を作る腎臓は、毛細血管が糸巻き状になっているので、これを糸球体と呼びます。
最初は尿にタンパクが出るぐらいで、自覚症状はあまりありません。
しかし、進行するに従って腎臓の機能が衰え、血液中に老廃物がたまり、全身に浮腫や高血圧が生じ、ついには尿毒症となり、危険な状態に陥ります。これも最近では、血液透析や腹膜灌流というすばらしい技術で社会復帰出来るようになりました。
3) 糖尿病性神経障害(日常生活にも影響を及ぼす):
神経は、体に必要な感覚や情報を脳に伝えたり、脳の司令を各部に送ったりするという重要な役目を果たしています。糖尿病が進行すると、神経に異常が生じ障害が出てきます。
糖尿病になって約五年ぐらいの比較的早期から、手足のしびれなどの自覚症状がみられます。さらに進行が進み、特に、知覚神経や自律神経が侵されると、激しい神経痛やしびれ、立ちくらみ、動悸、冷や汗、胃腸障害、排尿障害、性機能障害など、色々な症状に苦しめられます。
そのような神経障害では、身体が環境の変化に素早く適応できなくなり、直接・間接に命を短くすることにもなりかねません。
4) 動脈硬化性疾患:
糖尿病ではいろいろな合併症が発病しますが、その中でも動脈硬化(血管障害)が、いちばん大きな割合を占めています。そして、いったん発病すると治療が困難となるので誠に厄介です。
動脈硬化とは、動脈壁がかたくなったり、あるいは動脈の内腔が狭くなった状態で、血管の老化といわれており、健康な人でも年齢とともに進んでいきます。しかし、糖尿病がある人は、血中の糖が常に高い上に血中コレステロールや中性脂肪が増えやすく(高脂血症)、糖尿病がない人より動脈硬化が十年早く進むといわれています。
糖尿病になると、血液が粘りけを増し固まりやすくなるので、動脈硬化が進み動脈がよりつまりやすくなります。
5) 糖尿病足病変:
神経障害による感覚鈍麻、末梢動脈疾患による血流障害、外傷、感染症などの複雑な関与によって下肢に潰瘍や壊疽が生じます。
足病変を防止する:(フットケアを心がけましょう)
(固いブラシ・軽石は使わない / 清潔なタオルで拭く)
(下駄やサンダルのように足がむき出しになる履き物は足を保護できないので好ましくない / 靴下(
なるべく白いもの)を履く癖をつける)
(深爪にならない様注意する)
6) ケトアシードス昏睡:
高度なインスリン作用不足によりブドウ糖を利用できない状態では、代わりに、脂肪や蛋白質がエネルギー源として使われます。
脂肪の代謝によりケトン体(デモト酢酸、β−ヒドロキシ酪酸、アセトンの総称)が産生されます。ケトン体が血中に増加した状態をケトーシスといいます。
ケトン体は弱酸性であるため、ケトーシスが進行すると血液が酸性に傾くアシドーシスに陥り、この状態ををケトアシドーシスといいます。
口渇 ・ 多尿 / 体重減少 ・ 胃腸障害
血糖値は、300〜1000mg/dl
7) 高血糖高浸透圧昏睡:
口渇 ・ 多飲 ・ 多尿
血糖値は、500〜1500 mg/dl
8) 感染症:
糖尿府患者さんは免疫力の低下により、感染症にかかりやすくなります。
糖尿病の患者さんが、一度感染をおこすと治りづらいので注意しましょう。
下記のような歯の症状があったら早めに歯科受診を受ける歯ぐきより出血しやすく赤くはれる / 口臭がある / 冷たいものがしみる
できれば入浴は毎日する
下着は木綿のもので汗をかいたらすぐにとりかえる
(* 汗をかいたままの皮膚はパイ菌が繁殖しやすい)