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町田市/町田駅前佐藤寿一クリニック

糖尿病と妊娠

 


* 糖尿病の分類 

糖代謝異常(糖尿病)は、成因分類を主体とし、インスリン作用不足の程度に基づく病態(病期)により、以下の4つに分類されます。
1)T型
2)U型
3)その他の特定の機序,疾患によるもの
4)妊娠糖尿病

*妊娠糖尿病

「妊娠中に初めて発見または発症した糖尿病にいたっていない糖代謝異常」と定義されています。
*妊娠糖尿病になりやすいリスクとは?
・糖尿病の家族歴
・肥満
・35歳以上の高年齢出産
・巨大児分娩既往
・原因不明の習慣流早産歴
・原因不明の周産期死亡歴
・先天奇形児の分娩歴
・強度の尿糖陽性もしくは2回以上反復する尿糖陽性
・妊娠高血圧症候群
・羊水過多症
などがあります。
妊娠4〜9週で胎児のいろいろな臓器が作られます。この時期に母体の血糖値が高いと胎児の血糖値も高くなり、先天奇形を合併しやすくなります。妊娠してから糖尿病のスクリーニングを受けてもすでに胎児の器官形成期を過ぎているため予防できません。
1)上記のようなリスクのある妊婦さんは、妊娠する前に異常がないかスクリーニングを受けることが最も大切です。
2)また、妊娠初期に陰性であった人も、妊娠が進むにつれ血糖を下げるインスリンというホルモンが効きにくくなるため、妊娠中期(24〜28週)にもう一度スクリーニングをうける必要があります。

*妊娠糖尿病のスクリーニング

日本産科婦人科学会では、妊娠糖尿病のスクリーニングを妊娠初期と中期にすることを推奨しています。
スクリーニングの結果が、
・妊娠前から既に糖尿病と診断されている場合は「糖尿病合併妊娠」
・妊娠中に“明らかな糖尿病”と診断された場合は「 妊娠中の明らかな糖尿病」
として分類されます。これらは「妊娠糖尿病」より重度の状態ですので、血糖をより厳密に管理する必要があります。また妊娠前に糖尿病と診断されている場合は、血糖を十分に管理し、糖尿病の合併症(網膜症や腎症)がある場合、その状態の評価を行った上で計画的に妊娠することが、健康な赤ちゃんを産むために非常に大切です。

*妊娠糖尿病診断基準

妊娠糖尿病は、75g糖負荷試験において下記の基準の1点以上を満たした場合に診断します。
1) 空腹時血糖値≧92mg/dl
2) 負荷後1時間値≧180mg/dl
3) 負荷後2時間値≧153mg/dl
妊娠糖尿病診断基準は2010年に大きく変化し、一般の糖尿病よりも基準が厳しくなったため、従来の診断基準では 妊娠糖尿病 の頻度は約3%でしたが、基準変更後は約12%と4倍に増えました。 妊娠の経過とともにインスリン抵抗性が生じて血糖値が上昇します。また妊娠糖尿病は胎児に巨大児や出生後の新生児の低血糖を生じやすいなど、その予防のために設けられた基準です。

*1回目が妊娠糖尿病の場合、2回目も妊娠糖尿病になりますか?

スクリーニング方法や診断基準によって妊娠糖尿病の反復率は36〜70%程度と報告されています。初回妊娠時に児体重が大きい場合、インスリンの投与を必要とした場合、肥満がある場合には反復率も増加します。
妊娠糖尿病と診断された場合、産後6〜12週で再度ぶどう糖負荷試験を受ける必要があります。検査結果が正常であった場合でも、年に1回の血糖検査を受けるようにしましょう。

*妊娠時に診断された明らかな糖尿病 (Overt Diabetes in Pregnanncy)

妊娠時には、初期と中期にスクリーニングをします。その結果、妊娠糖尿病の基準より高いものが「妊娠時に診断された明らかな糖尿病」と診断されます。妊娠中・産後を通じて「妊娠糖尿病」の妊婦さんより厳重な管理とフォローアップが必要となります。

*妊娠時に診断された明らかな糖尿病と診断される検査値

妊娠糖尿病のうち、2時間値が200mg/dl以上の場合には、下記の「妊娠時に診断された明らかな糖尿病」の基準に照らし合わせ判断し、HbA1cが6.5%未満であれば「妊娠時に診断された明らかな糖尿病」と分類されます。
1) 空腹時血糖値≧126mg/dl
2) HbA1c(NGSP)≧6.5%
3) 確実な糖尿病網膜症が存在する場合
4) 随時血糖値≧200mg/dl、あるいは75gOGTTで負荷後2時間値≧200mg/dlの場合は空腹時血糖か、HbA1cで確認し、1、2の基準を満たした場合

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